湘南新宿ラインは、新宿駅を経由して高崎線と東海道本線(東海道線)、および東北本線(宇都宮線)と横須賀線とを相互直通運転を行っている、JR東日本の鉄道幹線である。本来では実際の運行区間である高崎駅〜小田原駅間(高崎線・東海道線系統)と宇都宮駅〜逗子駅間(宇都宮線・横須賀線系統)を指しているが、本項ではこの系統を総合している埼玉県の大宮駅より新宿駅および横浜駅、大船駅などを経由し、神奈川県の逗子駅までの区間について主に記述する。 概要もともと東京駅からの東海道線や横須賀線、上野駅からの宇都宮線や高崎線の普通列車(快速も含む)を、新宿駅を経由して相互直通運転をする目的で、2001年12月1日のダイヤ改正から運転が開始された。新宿駅を経由とした南北直通運転であるものの、背景には私鉄との競合などが本路線の運転開始のきっかけとなっている。[1] また、池袋駅から大崎駅まで線路を共用している埼京線の延伸ができなかった代わりとしての役目も受け持っている点が挙げられている。[2] 暫定運行当初は日中が中心で、25往復の設定となっており、うち18往復は南北直通、残りの7往復は東海道線や横須賀線からの新宿駅発着であったが、当時は池袋駅構内の配線の関係で大幅増発ができない状態であったことが大きな要因になっていた。その池袋駅の構内改良が2004年6月に実施され、山手貨物線と埼京線の立体交差化工事が完了し、併せて平面交差が解消されたことから、4ヶ月後の同年10月16日にダイヤ改正において64往復へと大幅増発され、時間帯も全日に拡大された。現在ではすべて新宿駅における南北直通運転になっている。 運行経路ここでは大宮駅から新宿駅、および大船駅経由で、横須賀線の逗子駅までの経路を記載する。 東北本線区間(東北貨物線) 大宮駅を出た列車は、田端操車場付近まで東北貨物線を走行する。途中浦和駅を通り、赤羽駅までは東北本線の旅客線(上野発着列車および上野東京ライン)と京浜東北線と並走するが、さいたま新都心駅には貨物線にホームがない為に通過する。[3]赤羽駅から先は、王子駅まで旅客線と並走、さらに上中里駅まで京浜東北線とそれぞれ並走した上で、中里トンネルに入りながら大きく右へカーブしたうえで、駒込駅付近より山手線と並走。ここより東北貨物線から山手貨物線に入る。 山手線区間(山手貨物線) 駒込駅付近からは山手貨物線に入り、大崎駅まで山手線と並行するかたちになる。さらに池袋駅から大崎駅までは埼京線と線路を共用し、途中新宿駅、渋谷駅、恵比寿駅に停車する。[4] 東海道本線区間(大崎支線および品鶴線 <横須賀線>) 大崎駅にてりんかい線新木場方面へ直通する埼京線と離れ、 横須賀線区間(大船〜逗子間) 大船駅を出た列車は、平塚・小田原方面へ向かう東海道線の線路と離れて左へカーブ、ここからは線路名称上においては横須賀線の単独区間となる。湘南モノレールの高架線を潜ってしばらくすると、やがて左右に山々などが迫り、鎌倉らしい寺社仏閣などが姿を現して北鎌倉駅に到着。円覚寺や建長寺などへの下車駅であり、次の鎌倉とともに週末は大いに賑わう。北鎌倉はかつての映画監督・小津安二郎が居住していた場所で、テレビCMなどでも紹介された。そして列車は歴史的な代表的古都の鎌倉駅に到着。鶴岡八幡宮や鎌倉宮をはじめ、駅前からの江ノ電に乗り換えて、長谷観音や大仏、そして江ノ島へ至ることができる。列車は名越のトンネルを抜けると、終着である逗子駅に到着する。湘南新宿ラインの列車はここまでであるが、横須賀線の列車自体はこの先、横須賀・久里浜方面へと続いている。 運行内容2015年4月1日現在、高崎線〜東海道線系統と宇都宮線〜横須賀線系統の2種類が運転されている。 高崎線〜東海道線系統 特別快速(全区間特別快速) 2014年10月16日から運行されている種別。日中1時間に1本の割合で運行されており、高崎線内では快速「アーバン」[5]、東海道線内では快速「アクティー」と停車駅がほぼ同じであることが特徴で、とくに高崎線内においては日中の「アーバン」を置き換えたかたちとなっている。また熊谷駅から高崎駅までは各駅に停車するため、高崎行きの場合、熊谷からは「普通」列車として案内されている。運行区間は北行1本の平塚駅始発を除いて、高崎駅から小田原駅までとなっており、全列車籠原駅を境に小田原駅方は15両、高崎駅方はホームの有効長から10両となっている。なお一時期ではあったが、多客期の土休日2往復に小田原駅から熱海駅まで延長運転され、途中真鶴駅と湯河原駅に停車していた。ちなみにこの延長運転の実施計画については、2015年以降事実上終了している。 快速(高崎線内および東海道線内普通 <大宮〜戸塚間快速>) 2001年12月1日の湘南新宿ライン運転開始から運行されている種別で、大崎駅から戸塚駅まで横須賀線の線路を経由し、前述のように西大井駅、新川崎駅、保土ケ谷駅、東戸塚駅を通過する関係から、あくまで横須賀線内における「快速」と称されている。しかしながら実質的には、高崎線や東海道線とも線内において普通列車となっており、南行の高崎線の大宮駅までと東海道線の戸塚駅から先、および北行の大崎駅から先は「普通」として案内される。[6]基本的な運行区間は籠原駅〜平塚駅(一部、国府津駅)間であるが、朝夕には高崎駅や小田原駅発着のほか、さらには両毛線の前橋駅発着、平日朝の1本には深谷駅発がそれぞれ設定されている。編成両数は籠原駅を境に小田原駅方は15両、高崎駅方はホームの有効長から10両となっているものの、深谷駅発の列車に限り、全区間15両で運転される。(深谷駅の3番ホームが15両対応なことから。)
宇都宮線〜横須賀線系統 快速(宇都宮線内快速・横須賀線内普通) 2014年10月16日から運行されている種別で、宇都宮線内では従来の快速「ラビット」を置き換えたかたちで、日中1時間に1本の割合で運行されており、小山駅から大宮駅まで快速運転を行っている。小山駅〜大宮駅間以外および横須賀線内は各駅に停車するために、南行では始発駅から大宮駅までと北行の大崎駅から小山駅までは「快速」と表示される。運転区間は宇都宮駅から逗子駅が基本(一部は大船駅発)で、編成両数は大部分が15両編成で運転されているものの、一部では小金井〜宇都宮間ならびに全区間10両編成で運転されている。
普通(全区間普通) 2001年12月1日の湘南新宿ライン運転開始から運行されている種別で、基本的には宇都宮駅から逗子駅までとなっているものの、一部には小金井駅や大船駅発着のほか、平日の朝1本には古河駅発も設定されている。編成両数は大部分が15両編成で運転されているものの、一部では小金井〜宇都宮間ならびに全区間10両編成で運転されている。 過去の運行内容登場から本格開業までの2001年12月1日から2004年10月15日まで(すなわち、暫定開業時)は、上記の高崎線〜東海道線系統の快速、宇都宮線〜横須賀線系統の普通に加えて、新宿駅から横須賀線の横須賀駅[7]へ定期列車も設定されていたほか、宇都宮線〜横須賀線系統では黒磯駅発着[8]もそれぞれ設定されていた。 使用車両現在の使用車両
湘南新宿ラインにて使用されている車両は2016年4月現在、上野東京ラインなどと共通でE231系近郊タイプ型車両とE233系3000番台車両にて運用され、小山車両センターおよび国府津車両センターに配置されている。2001年12月の暫定時には小山車両センター(当時は小山電車区)の車両だけで、グリーン車なしの編成にて運用されたが、2004年10月の本格開業と同時に4号車と5号車にグリーン車の連結を開始、併せて国府津車両センターにも配置が開始され、全列車がE231系での運用に統一された。基本的な運用においては上野東京ライン開業前の2015年3月13日までは、高崎線〜東海道線系統は国府津車両センター(以下・国府津車)所属、宇都宮線〜横須賀線系統は小山車両センター(以下・小山車)所属の車両がそれぞれ受け持って運用された。 その後、上野東京ラインが開業した2015年3月14日からは、車両運用の大幅な見直しに伴って、従来のE231系のほか、E233系3000番台車両も運用に加わったことや、基本的に小山車や国府津車との区別がなくなったことにより、両形式とも共通運用となっている。これによってE231系とE233系3000番台との併結運用が数多く見られるほか、国府津車による宇都宮線〜横須賀線系統ならびに小山車による高崎線〜東海道線系統の運用、さらには国府津車と小山車との併結運用が見られるなどといった事実上の共通運用となっており、併せて実質的に車両運用の受け持ちが合理化されたなど、近郊型車両グループの一員となって運用されている。
行先表示区間
いずれの場合、各始発駅から新宿駅までは「新宿経由」と表示され、新宿駅到着後に経由表示はされなくなる。(この点においては上野東京ラインも同じ。) 過去の使用車両(暫定運用時)
211系 暫定開業期間に運用され、高崎線〜東海道線系統および宇都宮線〜横須賀線系統で活躍していた。当該車両は新前橋電車区(現在は高崎車両センター)に配置されており、グリーン車なしの10両編成(5両×2編成)および15両編成(5両×3編成)で運用された。[9]前面表示では「○○線直通」のみで、側面の行先表示は国鉄式を採用しており、快速などに使われている「新宿経由」の赤文字を加えた行き先が表示されていた。[10]その後は2004年10月16日の本格開業にて湘南新宿ラインでの運用を終了し、宇都宮線や高崎線の上野口で活躍していたが、E233系車両への置き換えに伴い、2014年3月でもって全ての運用を終了した。[11] 115系 小山電車区(現在は小山車両センター)所属の車両が宇都宮線〜横須賀線系統にて、黒磯駅から大船駅まで運用された。こちらも211系車両と同じく、前面表示では「○○線直通」のみで、側面の行先表示は国鉄式を採用しており、快速などに使われている「新宿経由」の赤文字を加えた行き先が表示されていた。2001年12月1日に運用を開始し、2002年7月まで運用されていた。湘南新宿ラインでの運用終了後も宇都宮線で活躍し[12]、2004年10月の改正まで運用された。 215系 暫定開業期間において、新宿駅から毎日運行の横須賀線系統ならびに土曜・休日の東海道線系統において運用されていた。田町電車区所属のグリーン車付きオール2階建て(ダブルデッカー)の10両編成で、新宿駅から横須賀線系統では横須賀駅まで、東海道線系統では小田原駅までそれぞれ運用された。先頭車前面の種別表示は横須賀線系統では「普通」、東海道線系統では「快速」と表示されていた。2004年10月15日に運用を終了し、現在では「湘南ライナー」などで運用されている。 E217系 本来は横須賀線・総武快速線で活躍している形式でありながら、湘南新宿ラインにおいても暫定期間において新宿駅から横須賀線系統にて運用され、横須賀駅および久里浜駅まで運用された。鎌倉車両センター所属のグリーン車付き11両編成[13]で運用され、前面表示では新宿行きは「普通」、横須賀線方面行きは「横須賀線-総武線」とそれぞれ表示されていた。2004年10月15日に新宿駅から横須賀駅および久里浜駅までの湘南新宿ラインでの運用を終了し、現在では横須賀線・総武快速線などで運用されている。[14] |
※ここでは、大宮〜新宿〜横浜〜大船間を中心に、定期列車が運転されている区間(一部区間を除く)を記載する。
脚注
|