(渋谷〜中央林間) 東急田園都市線は東京都渋谷区の渋谷駅から三軒茶屋や二子玉川、長津田などを経由して神奈川県大和市の中央林間駅に至る東急電鉄の通勤鉄道幹線。東急の開発地域である「多摩田園都市」企画の一段として、都心からの通勤利便性の向上を目的に開設された東横線に次ぐ東急の主要路線と位置付けられている。1966年4月に溝ノ口駅(現:溝の口)から長津田駅までの間が開通し、当時の大井町駅から長津田駅までの間が直通で結ばれた。以後長津田から先は順次延伸されて行き[1]、最終的には1984年4月に中央林間駅まで開通している。一方都心側も、1979年に新玉川線(渋谷〜二子玉川園<現:二子玉川>。2000年に田園都市線に合併。)へ乗り入れ、さらに渋谷からは営団地下鉄(現:東京メトロ)半蔵門線へも乗り入れを開始し、都心から田園都市線が一本の路線で結ばれている。最近では渋谷駅から半蔵門線を経由して2003年に押上駅から東武伊勢崎線および日光線(現在のスカイツリーライン区間)への乗り入れが実現したことは大きな出来事になり、東武線へのアクセスが加わったことから、東急から東武へも一本で行くことが出来るようになっている。 また渋谷駅から二子玉川駅までの区間は2000年8月5日までは新玉川線という路線で運行されていたものの、実質上は田園都市線と一本化されていた。ここでは当時の新玉川線もほんの一部記述する。 現在の運転内容 日中時間帯における運行内容(2022年3月12日改正)
2021年3月13日に実施されたダイヤ改正とほぼ同じ内容であり、日中時間帯においては渋谷駅から長津田駅までの1時間当たりの本数では各駅停車が6本、急行と準急が3本ずつの構成となっているほか、大井町駅直通の急行が二子玉川〜中央林間間にて3本運行されている。 運行種別 2019年現在、以下の3つの種別にて運行されている。 急行 昔は平日および土曜日におけるラッシュ時に限って設定されていた種別であったが、1996年のダイヤ改正時において当時平日や土曜日の日中および休日に半蔵門線から長津田駅まで運転されていた快速[2]を格上げしたかたちで置き換え、同時に運行区間も中央林間駅まで延長されている。当初は30分間隔がメインであったものの2003年の半蔵門線の押上延伸および東武線への乗り入れ開始時に、毎時2本から4本の15分間隔に増発された。基本的な運行区間は押上駅から中央林間駅までであるが、日中の30分に1本は東武スカイツリーラインへ乗り入れて久喜駅まで運転されており、東武線内も急行で運転されている。この他にも東武スカイツリーラインへは南栗橋駅発着や半蔵門線へは平日早朝1本に清澄白河駅行き、土休日の夜1本にスカイツリーライン直通の北越谷駅行きのほか、中央林間行きには土休日の夕方2本に渋谷駅発がそれぞれ設定されている。停車駅は当初、渋谷から三軒茶屋・二子玉川・溝の口・鷺沼・たまプラーザ・青葉台・長津田・中央林間であったが、2002年3月28日からはあざみ野が全日、2006年3月18日からは南町田が土休日のみに急行停車駅に追加されている。また土曜休日の日中には大井町線直通の急行が長津田駅から大井町駅まで運転されており、大井町線内も急行運転となる。 準急 田園都市線内の通勤ラッシュ時における各駅停車から急行への乗換による慢性的な混雑やそれに伴う遅延を緩和および抑制させる為に、2007年4月5日に登場した急行に次ぐ種別。当初は平日朝ラッシュ時の上りで運転されていた急行を置き換えるかたちで設定され、中央林間駅から二子玉川駅までは急行、二子玉川駅から渋谷駅までは各駅に停車する内容となっている。運転区間は大半が長津田駅始発さらに4本が中央林間駅始発で、運転区間は半蔵門線内は押上駅および清澄白河駅までであるものの、一部は押上駅から東武スカイツリーラインへ乗り入れて久喜駅や南栗橋駅まで運転されている(東武線内は急行)。朝の上りだけでの種別であったが、2014年6月21日からは新たに平日や土休日の日中、および平日朝の下りにも設定され、日中においては毎時約2本を増発し、基本的に上りは中央林間駅〜久喜駅(東武線内急行)、下りは押上駅〜中央林間駅での運転となっている。またこの改正からは南町田駅が停車駅に追加されている。 2019年10月1日より、長津田駅から中央林間駅までの区間が各駅に停車し、つくし野駅・すずかけ台駅・つきみ野駅の3駅が準急の停車駅に追加されている。 各停(各駅停車) 日中のおいては1時間に8本設定されており半蔵門線への直通が基本になっているものの、2本は渋谷駅発着で、あとの6本は半蔵門線へ直通し基本的には押上駅発着であるが、東武線直通ももちろん設定されており南栗橋駅発着が2本、久喜駅発が2本それぞれあり、いずれも東武線内においては急行で運転されている。このほか中央林間発着のほかラッシュ時には長津田や鷺沼発着があり、行先ではほとんどが半蔵門線へ直通し押上行きをはじめ清澄白河行きや半蔵門行き、押上経由で東武線へは久喜行きや南栗橋行きのほか僅かながら北越谷行きや東武動物公園行きなどが設定されている。これらの場合は東武線内における種別は急行が基本だが、朝方および深夜は準急で運転されている。なお各駅停車に関しては東横線や目黒線、大井町線とも「各停」表示がなされているが、田園都市線においては自社線はもとより、半蔵門線内においても「各停」の表示はされていなかったが、2018年ごろから一部の列車において「各停」表示が開始され、現在では一部を除く大部分の編成にて各停表示が行われている。
現在運用されている車両 田園都市線で運用されている車両は、東急線車両および他社線(東京メトロおよび東武)車両とも、すべて10両編成で運用されている。 東急線車両
他社線車両
過去に運用された車両
田園都市線の車両運用は番号ごとに運用される車両が決まっている。内容的には01〜49番までが東急車両。50番以降は奇数が東京メトロ車両、偶数が東武車両が基本的に割り当てられている。また東急車両には東武線への乗り入れの可否によっても番号が割り当てられているのが特徴であり、東武線へ乗り入れる運用の番号は01〜29番までであり、30番以降は東武線へは乗り入れない。また車両においても東急車両には東武線への乗り入れ可否に分けられている関係で、運用番号でも分かり易くなっている。東武線への乗り入れには8500系(一部を除く。)と5000系が、非乗り入れには8500系の一部(過去には2000系および8590系)が充当されている。また乗り入れ可否を見分ける為から、押上から先の東武に乗り入れない車両には、正面の貫通ドアの窓に「K」マークが貼られている。 東京メトロ半蔵門線の車両には8000系と08系が、東武の車両には50050系と30000系がそれぞれ運用されており、東武の30000系は乗り入れ当初の主力車両であったものの、前述のように10両固定編成化されていない(4+6両の連結編成)ことによる混雑の対応が厳しいことから、10両固定の50050系へ役目を譲り東武線内の地上運用へ転用し、さらに東武東上線へ転属している。 田園都市線の遅延防止策田園都市線沿線では都心方面のベッドタウンの増加などの理由から、朝夕のラッシュでは混雑による遅延が年々増加している。最近では遅延抑制へ向けての混雑緩和対策への取り組みが積極的に行われている。 「準急」の登場と6ドア車連結化の背景従来において朝ラッシュ時には各駅停車と急行が運転されていたものの、急行に集中している為の混雑で大幅な遅延が発生し、とくに二子玉川駅での各駅停車から急行への乗り換えで大幅に混雑し、積み残しも問題化されていた。その問題を解消していく為に2007年4月5日から朝ラッシュ時の急行を「準急」へ変更して、長津田駅(一部は中央林間駅)から二子玉川駅までを急行とし、二子玉川からは各駅に停車して混雑緩和を図っていった。この準急が登場したことによって桜新町駅での各駅停車による通過待ちが削減され、また列車ごとの混雑も徐々に平準化されている。 またこれまではすべて4ドア車両でドア数でも問題化されていたが、2005年から5000系車両の一部に5号車と8号車に6ドア車を連結し、朝ラッシュ時の準急をメインに導入した。ここでも乗り降り時間が短縮され、混雑緩和へ一役買っている。また2009年からは4号車にも6ドア車両が連結され始め、さらなる混雑緩和を目指している。現在運用されている6ドア車は今後全駅に導入が予定されているホームドアに対応できなくなることから、順次置き換えられ、2017年5月をもって4ドア車両へ戻されている。
大井町線のバイパス化 田園都市線の混雑緩和策のもう一つのプロジェクトに大井町線のバイパス化が挙げられている。大井町線は従来、大井町駅から二子玉川駅までの路線であったものの、田園都市線の二子玉川駅から溝の口駅までの区間を複々線化して延伸することで大井町線の延伸に対応した。また2008年3月からは急行が登場したと同時に、急行専用車両である6000系が登場している。その後は2009年7月11日に溝の口駅まで延伸され、田園都市線から都心へ向かうルートの選択肢が増えたことからも、混雑緩和へ大きな影響を与えている。[4]
今後の予定
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田園都市線 駅一覧
脚注 |