JR東日本の東海道線は東京駅から横浜、大船、平塚、小田原を経由して静岡県の熱海駅までの路線。本来の東海道線は東海道本線という名称で、東京駅から横浜、静岡、名古屋、京都、大阪を経由して神戸駅までの路線であるが、本項ではJR東日本が管轄している東京駅から熱海駅までの区間に加え、一部の列車が乗り入れている沼津駅(JR東海管轄区間)までの路線についても記述する。また同じ上野東京ラインに乗り入れている常磐線については品川駅までと短い関係で、ここでは割愛する。 運行内容基本的に東京から熱海までの運転をはじめ、途中の平塚・国府津・小田原までの区間列車に加え、熱海から沼津、さらに伊東線へ乗り入れて伊東へ直通する列車が運行されている。この他に湘南新宿ラインで新宿を経由して高崎線へ乗り入れる列車に加え、2015年3月14日からは上野東京ラインで上野を経由の高崎線、および宇都宮線へ乗り入れる列車が加わった。現在、東海道線方面から北側へ乗り入れている列車の最遠では高崎線直通は前橋駅まで、宇都宮線直通は黒磯駅までとそれぞれなっている。 快速アクティー 東海道線の愛称付き快速列車で2015年3月の上野東京ラインの開業後は、大部分が宇都宮線へ直通し、小金井駅および宇都宮駅まで乗り入れていた[1]。かつては戸塚・辻堂・大磯・二宮・鴨宮・早川・根府川の各駅を通過していたが、現在では辻堂・大磯・二宮・鴨宮が通過駅となっており[2]、実質的な区間快速として機能している。ただし後述の湘南新宿ラインで運転されている快速とは全く関係はない。 2021年3月13日のダイヤ改正にて本数が大幅に削減され、日中時間帯の運行が終了されたと同時に(併せて宇都宮線への直通も終了)、夜間の下り2本のみ(東京駅発19時48分・20時48分)の運行となり、区間も熱海駅までの運行から小田原駅までに縮小された。 2023年3月18日ダイヤ改正をもって運行終了予定。 普通 東海道線の列車線において、すべての駅に停車している種別。上野東京ラインの開業前までは東京駅から平塚駅・国府津駅・小田原駅・熱海駅までの運行が基本であったが、現在では宇都宮線や高崎線から熱海方面の列車に加えて、沼津駅までが1日9往復、伊東駅までが1日5往復それぞれ設定されている。大部分の列車が15両編成で運行されているが、一部10両編成でも運行されている。これらには全て熱海寄りの4号車と5号車(前から4両目と5両目)にグリーン車が連結されている。また朝の上りに宇都宮線内快速ラビット、高崎線内快速アーバンとして運転される列車が各2本設定されている。また例外的であるが、平塚発の熱海行き2本はグリーン車なしの5両編成(付属編成)で運転される。 特別快速(湘南新宿ライン) 2004年10月16日の湘南新宿ライン本格開業によるダイヤ改正から運行開始した種別で、高崎線の高崎駅から新宿を経由して小田原駅まで運行されている[3]。東海道線内は快速アクティーと停車駅が同じであり、日中1時間に1本運転されている。列車は全列車15両編成にて運行されている[4]。従来から国府津車両センターのE231系近郊型タイプで運用されているが、上野東京ライン開業以降はE233系車両も加わったほか、小山車両センターのE231系近郊型タイプやE233系車両も運用されている。 快速(湘南新宿ライン) 2001年12月1日の湘南新宿ライン運転開始から運行されている種別。前述の快速アクティーと違うのは西大井駅・新川崎駅・保土ケ谷駅・東戸塚駅に停車している横須賀線列車と湘南新宿ラインの横須賀線・宇都宮線系統の普通列車に対する「快速」となっており、横浜駅からの東海道線内は事実上の普通列車となっている。南行は戸塚駅から「普通」表示となり、北行は始発駅から大崎駅まで「快速」表示として運転される。主な運行区間は高崎線の籠原駅や高崎駅、一部の列車は前橋駅から平塚駅、国府津駅、小田原駅までとなっており、日中は籠原駅から平塚駅までがメインになっている。従来から国府津車両センターのE231系近郊型タイプで運用されているが、上野東京ライン開業以降はE233系車両も加わったほか、小山車両センターのE231系近郊型タイプやE233系車両も運用されており、全列車15両編成にて運行されている[5]。 過去の運行種別通勤快速 かつて1990年3月10日から2021年3月12日まで平日の下りのみにて、東京〜小田原間を運行していた種別。快速アクティーと異なる点は川崎駅と横浜駅・戸塚駅を通過する点であった。1日3本(19時50分、20時50分、21時50分)が運行されており、上野東京ライン開業後も引き続き東京駅始発で運行されていた。 2021年3月13日のダイヤ改正にて運行を終了した。 運行車両一般列車(上野東京ライン・湘南新宿ラインも含む) 2020年現在、東海道線で活躍している一般の車両については、E231系近郊型とE233系3000番台の2形式(いずれも基本編成の4号車と5号車にグリーン車付き)に統一されており、国府津車両センター(国府津車)ならびに小山車両センター(小山車)に配置され、これらはいずれも共通運用となっている。上野東京ラインの開業(2015年3月14日)までは形式別や配置別に独立したかたちで運用されていたが、上野東京ラインの開業による車両運用の大幅な見直しによって実質的に運用上の区分がなくなり、事実上合理化されたことから、15両編成での運行の場合においては両形式の併結運用ならびに国府津車と小山車との併結運用が見られるなど、形式および所属関係なく運用されており、E231系近郊型グループの一員となって運用されている[6]。 熱海駅から沼津方面のJR東海管轄区間は、沼津駅まで乗り入れているJR東日本の上記2形式を含めて、JR東海にて管理している211系および313系が運用されており、最遠で浜松駅まで運用されている。 車両運用区間 東海道線(東京駅〜熱海駅間)
前述のように、これらはいずれも形式・所属に関係なく共通運用となっており、グループの一員となって広範囲にわたって運用を受け持っている。 東海道線(熱海駅〜沼津駅間<JR東海管轄区間>)
特急列車・ライナー(踊り子、湘南ライナー、夜行など)
特急「踊り子」で活躍している車両には185系車両およびE257系車両に加えて、2020年春からは「スーパービュー踊り子」から代わった「サフィール踊り子」にはE261系がそれぞれ活躍しており、これらは大宮総合車両センターに配置されている。また通勤ライナーの「湘南ライナー」や「おはようライナー新宿」、「ホームライナー小田原」には185系や251系に加えて、オール二階建車両の215系車両(国府津車両センター所属)が活躍している。このほか臨時では伊豆急行から「アルファリゾート」車両が東京〜伊豆急下田間を運行している。 また過去には東京駅から九州、山陰、四国方面などへの夜行寝台特急列車が発着していたものの、2009年まで順次廃止されて行き、2015年3月現在、定期運行されている列車は「サンライズ出雲(出雲市行き)」と「サンライズ瀬戸(高松行き)」の2列車で、これらは岡山まで連結されて運行されており、実質的に1つの列車として機能している。なお「サンライズ」の車両は285系車両を使用している。 このほか静岡駅への特急「東海」(1996年から2007年まで。1996年までは急行「東海」)も運行されており、373系車両(急行時代は165系)にて運用されていた。 過去の車両かつて1960年代から1980年代にかけての国鉄時代は、横須賀線などとともに113系車両(111系車両も含む)の牙城であった。その後国鉄時代末期には211系車両が登場したものの、基本的には2000年代前半まで3つドア車の天下であった。
113系 かつて211系登場前までは113系および111系が活躍し、「湘南電車」として親しまれ、国鉄時代の象徴的な存在でもあった。戦後の「湘南電車」時代の80系から引き継いだこの色は「湘南色」として親しまれ、東海道線をはじめ高崎線や東北本線、上越線、信越本線さらには西側の山陽本線などの路線でも見られた。その後2004年にE231系が登場してからは活躍の場が減っていき、2006年3月でもって湘南色の113系の運用は終了した。 運用末期においては基本編成全車と付属編成の一部は国府津電車区(→国府津車両センター)に、さらに付属編成のごく一部はJR東海の静岡車両区にそれぞれ配置されており、実際に2004年頃まで基本編成がJR東日本編成、付属編成がJR東海編成との併結が東京駅から熱海駅までの区間でよく見られた。これは後年、上野東京ラインの開通によって国府津車や小山車との併結でもよく似ている。 211系 国鉄時代最末期の1986年に登場した形式で、同時期に登場した通勤型の205系車両を基本とした設計で、113系と同じ3ドア車の車両としたものである。グリーン車は登場当初は平屋式のみであったが、JR化後の1989年からは2階建車両も連結を開始。以後平屋式グリーン車を宇都宮線・高崎線へ転属させ、2006年までに東海道線のグリーン車は全て2階建車両化された。その後2008年のE233系車両の登場に伴って、2012年4月でもって運用を終了した。なおあくまで運用を終えた区間は東京駅〜熱海駅間、および伊東線であるものの、熱海駅からのJR東海管轄区間では現在も運用されている。 E217系 本来は横須賀線・総武快速線で活躍している形式であるが、113系車両の引退に伴う車両不足の解消を目的に、ごく一部の編成が転属してきた。横須賀線・総武快速線の11両+4両から東海道線の10両+5両に組み替えられ、東京駅〜熱海駅間の運用に限定された[7]。上野東京ライン開業の車両運用見直しによるE231系とE233系の共通化によって、2015年3月14日の改正にて運用を終了し、本来の横須賀線・総武快速線へ復帰した[8][9]。 373系 2012年3月16日まで東京駅に乗り入れていたJR東海所属の在来線特急車両。1996年3月の特急「東海」(東京〜静岡間)の登場と同時に、夜行快速「ムーンライトながら」(東京〜大垣間)[10]で活躍し、その間合いとして早朝・深夜における東京〜静岡間の普通列車で運用されていた。グリーン車の設備は無く、3両編成を3編成つなげた9両編成で活躍していた。 過去の運行内容ここでは通勤快速は前述したため割愛する。かつて国鉄時代より東京駅から熱海および沼津を経由して静岡駅までの普通列車がJR化後も運行されていた。民営化当初は1時間に1本の割合であったが、次第に需要が低下したことに伴って、2004年10月16日改正でもって沼津駅以西におけるグリーン車連結列車の直通運行を廃止した。また373系の項にて前述のように、早朝・深夜において静岡駅へ向かう列車が1往復残されていたが、2012年3月17日改正にて東京〜静岡間の直通運行は完全に廃止された。 同時に2012年3月17日改正までは国府津駅においても、御殿場線への直通列車が運行されており、東京から国府津経由で山北駅まで乗り入れていた。使用されていた車両は113系の4両編成であったが、2004年以降はE231系の5両編成が受け持っていた。
今後の予定JR東日本は東海道線の大船〜藤沢駅の間に新駅を設置することを2021年2月8日に決定し、大船〜藤沢駅間において「村岡新駅」を設置することで神奈川県とJRが協定を結んだことが明らかとなった。2032年度の開業予定。かつては新駅設置場所とほぼ同じ場所に「湘南貨物駅」が1985年まで設置されていたが、貨物駅廃止後も新駅構想は30年以上前から進められており、JR東海道線での新駅設置は、1925年開業の「熱海駅」以来となる。 東海道線 駅一覧 (東京〜熱海〜沼津)■東海道線(東京〜沼津間)・■伊東線(熱海〜伊東間) ▼・↓:下りのみの運転。
脚注
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